テントサウナオーナーとして各地のフィールドを渡り歩いてきた身からすると、静岡は「日本のテントサウナ聖地」と呼んでも過言ではないと思っている。
富士山の溶岩石でロウリュを楽しみ、湧き水の清流に飛び込む。名水百選に輝く阿多古川のほとりで薪ストーブを焚き、ととのいながら目の前の渓流を眺める。静岡にはそういうフィールドが、複数存在する。
本記事では実際に現地確認した情報をもとに、静岡のテントサウナおすすめ7施設を川・富士山エリア・こだわり系の3カテゴリに分けて紹介する。施設選びに悩んでいる人は「目的別の選び方」から読み進めてほしい。
静岡がテントサウナの聖地である3つの理由
なぜ静岡がこれほどテントサウナと相性がいいのか。テント設営を生業にしている視点から、3つの理由を挙げたい。
①清流が天然の水風呂になる
テントサウナにおいて水風呂のクオリティは、体験全体の満足度を大きく左右する。静岡には名水百選にも選ばれた阿多古川や、富士山の湧き水を源とする芝川・興津川など、透明度と水温が絶妙な清流が点在している。施設の水風呂槽とは違う、自然の川に飛び込む感覚は、一度体験すると忘れられない。
②富士山・海・川と三拍子揃ったロケーション
静岡は東西に長い県土を持ち、富士山麓の高原地帯から遠州・駿河の川沿い、伊豆の海岸線まで、多様な自然環境が揃っている。「どんなロケーションでととのいたいか」によって施設を選べる懐の深さが、他の都道府県にはない強みだ。
③都心からの日帰りアクセスの良さ
新東名高速道路の整備により、東京・名古屋双方から2時間前後でアクセスできる施設が多い。日帰りでも十分に楽しめるため、週末のサウナ遠征先として首都圏サウナーの間でも人気が高まっている。
【目的別】静岡テントサウナの選び方
施設を選ぶ前に、自分がどんな体験を求めているかを明確にしておきたい。静岡のテントサウナは大きく4つの目的に分類できる。
川に飛び込んでととのいたい人向け
→ 石神の里キャンプ場・おきつがわオートキャンプ場・サウナ天竜(シーズン確認要)
富士山の恵みを全身で感じたい人向け
→ ホールアース自然学校(通年・季節により内容変更)・FUJIYAMA SAUNA倶楽部
初心者・手ぶらで手軽に楽しみたい人向け
→ 石神の里キャンプ場・おきつがわオートキャンプ場(設営・撤収不要プランあり)
宿泊込みで非日常体験をしたい人向け
→ おちあいろう(伊豆・宿泊者限定)
【川サウナ】清流×テントサウナのおすすめスポット3選
テントサウナの真骨頂は、川を水風呂にする体験だ。施設の水槽とは次元が違う。流れる水の柔らかさ、川底の石の感触、ロウリュ後に体から立ち上る湯気——そのすべてが自然の一部になる瞬間が、テントサウナの醍醐味だと思っている。
①石神の里キャンプ場(浜松市天竜区・阿多古川)
名水百選にも選ばれた阿多古川のほとりに立地するキャンプ場。テントサウナはMOBIBA・MORZHの2種類を常設しており、どちらも最高120℃近くまで温度が上がる本格仕様だ。
薪の火入れはスタッフが対応してくれるので、初心者でも安心して入れる。水風呂は目の前の阿多古川に飛び込むスタイルで、透明度の高い清流に体を沈める瞬間は「川ととのい」の真髄と言える。外気浴用のインフィニティチェアも川辺にずらりと並んでいる。
日帰り利用も可能で、キャンプなしのテントサウナ単体予約もできる点が使いやすい。
- 住所:静岡県浜松市天竜区
- アクセス:新東名・浜松浜北ICより約20分
- 日帰り:可
- テント:MOBIBA・MORZH
- 水風呂:阿多古川(天然川)
- 公式:ishigaminosato.com
②おきつがわオートキャンプ場(静岡市清水区・興津川)
新東名・新清水ICから約20分、興津川の上流部に位置するキャンプ場。静岡市内から40分というアクセスの良さと、清流を水風呂代わりに使えるロケーションが両立している稀有な施設だ。
テントサウナは設営・撤収不要のレンタルプランがあり、川沿いのサイトにセットアップされた状態で迎えてくれる。天然地下水の人工水風呂も完備されているため、川に入ることに抵抗がある人でも安心して利用できる。
「テントサウナ&手ぶらBBQ」などのセットプランも充実しており、サウナだけでなく一日まるごと楽しめる設計になっている。
- 住所:静岡県静岡市清水区
- アクセス:新東名・新清水ICより約20分
- 日帰り:可(ショートプランあり)
- 水風呂:興津川(天然川)+天然地下水の人工水風呂
- 公式:camp-joe.com/okitsugawa
③サウナ天竜(浜松市天竜区・阿多古川)※シーズン営業
「静岡テントサウナの聖地」を自称するだけあって、サウナ天竜のコンテンツ密度は他の追随を許さない。熱波師によるアウフグース、キッチンカーのサ飯、テントサウナ×バレルサウナの複数ラインナップ——ここは単なる施設ではなく、アウトドアサウナカルチャーの発信地だ。
2026年現在、サウナ天竜は固定拠点での定期営業から阿多古川沿いの複数スポットでのポップアップ・地域連携型イベントへとスタイルをシフトしている。従来の拠点「TAKI駐車場」に加え、あたご川下流域など周辺エリアでも開催されることが増えており、訪問前に公式サイト・当日のInstagramストーリーズで開催場所と営業状況を必ず確認してほしい。夏季(8月)は毎日営業、秋には大型イベント「あつあつ祭」を開催、冬季は縮小傾向というリズムは変わらない。
設備はテントサウナ・バレルサウナ・CHILL DOGプロデュースのサウナトラックと3種類を常設。すべて薪ストーブ仕様でセルフロウリュ可能だ。水着・タオル類は無料レンタルがあるため、手ぶらで訪れることもできる。
- 住所:静岡県浜松市天竜区上野1490(TAKI駐車場)
- アクセス:新東名・浜松浜北ICより約30分
- 営業:季節・不定期(公式SNS要確認)/木・金定休
- 料金:大人2,000円+駐車場1,000円
- サウナ:テントサウナ・バレルサウナ・サウナトラック(全て薪ストーブ)
- 水風呂:阿多古川(天然川)
- 公式:saunatenryu.info
【富士山エリア】富士の恵みを感じるテントサウナ2選
富士山ビューのテントサウナは山梨側に集中しているが、静岡側にも「富士の恵み」をコンセプトにしたユニークな施設が存在する。「富士山を眺める」ではなく「富士山に包まれる」感覚が、このエリアの本質だ。
④ホールアース自然学校「里山テントサウナ」(富士宮市・芝川)※秋〜春のみ
富士山麓の環境教育団体・ホールアース自然学校が手がけるテントサウナ体験は、他の施設とは一線を画している。専門業者から仕入れた富士山産の溶岩石をサウナストーンに使用してロウリュし、水風呂は富士山の湧き水を源流とする清流・芝川。外気浴は里山の自然の中で行う。富士山の恵みをストーブ・水風呂・外気浴の三拍子すべてで感じられるのは、ここだけだ。
隠れ家的なロケーションで最大4名まで貸切利用できる。テント設営・撤収はスタッフが対応。
ベストシーズンは虫の少ない秋〜春(10月〜5月頃)だが、2026年は夏季限定で「清流シャワー&サウナ」として川遊びとのセットプランも展開されており、実質的に通年で楽しめる施設になっている。季節ごとに体験内容が変わるため、公式サイトで最新のプラン内容を確認してから予約するとよい。
- 住所:静岡県富士宮市下柚野165
- アクセス:東名・富士ICより約30分
- 実施期間:通年(季節により内容変更・要事前確認)
- 料金:16,000円〜(1張・最大4名)
- 水風呂:芝川(富士山湧水の清流)
- 公式:wens.gr.jp
⑤FUJIYAMA SAUNA倶楽部(富士宮市街)
富士宮駅から徒歩2分という立地に、本格テントサウナが存在する。「街中でととのう」という逆張りのコンセプトが面白い。
MORZH(モルジュ)テント×2基を完備し、最大8名まで対応。緑茶・ほうじ茶・オリジナルブレンドのセルフロウリュが楽しめる点は、富士宮らしいこだわりだ。水風呂は富士山の伏流水を使用した14〜15℃のキンキン仕様。完全貸切・予約制で他のグループと鉢合わせることもない。
富士宮焼きそばや富士山本宮浅間大社など、サウナ前後に楽しめるコンテンツが豊富なのも強みだ。
- 住所:静岡県富士宮市中央町5-14
- アクセス:JR富士宮駅より徒歩約2分
- 営業:平日・土日 8:00〜22:00(完全予約制・貸切)
- 料金:平日 2,500円/休日 3,000円(1名)
- 水風呂:富士山伏流水(掛け流し)
- 公式:coubic.com/fujiyama-sauna
【宿泊】川辺のバレルサウナ×老舗旅館
⑥おちあいろう(伊豆市湯ヶ島・狩野川)
明治7年創業、国の登録有形文化財にも指定される老舗温泉旅館。サウナ界のミシュランとも呼ばれる「サウナシュラン」に3度選出され、2025年には殿堂入りを果たした静岡が誇る最高峰のサウナ宿だ。
2025年に大規模なサウナエリアの再編が完了し、川辺にあったテントサウナは常設バレルサウナへと進化した。鳥取県産の智頭杉で組み上げられた「ONE SAUNA」製バレルサウナが狩野川のほとりに佇み、サウナ室の小窓からは天城の清流を望む。セルフロウリュセット・ヴィヒタ・アロマオイル・マッサージストーンが揃い、一年を通じて利用できる。
現在は川辺のバレルサウナのほか、温泉がサウナ室に流れ込む「サーマルスプリング」、別邸・石楠花の「囲炉裏サウナ」と計3種類のサウナを完備。いずれも宿泊者のみが利用できる。
かつてのテントサウナも十分に魅力的だったが、常設バレルへの移行は「退化」ではなく「深化」だ。川辺というロケーションはそのままに、通年利用・完全貸切・智頭杉の香りが加わり、サウナー目線でも明らかに上質な体験になっている。テントサウナ特集の文脈でいえば「テントサウナの進化形が見られる宿」として紹介するのがしっくりくる。
- 住所:静岡県伊豆市湯ヶ島1887-1
- アクセス:修善寺駅より送迎あり(要予約)
- 利用:宿泊者限定(川辺サウナは75分貸切・1名10,000円〜)
- サウナ:川辺バレルサウナ・サーマルスプリング・囲炉裏サウナ
- 公式:ochiairo.co.jp
【こだわり系】唯一無二のテントサウナ体験
⑦sauna MYSA(静岡市葵区・足久保)
静岡市の里山、足久保に佇む築100年超の古民家をリノベーションしたアウトドアサウナ施設。「MYSA(ミーサ)」はスウェーデン語で「心地よい場所でのんびりくつろぐ」を意味する。その名の通り、ここは単なるサウナ施設ではなく、里山の時間軸で生きる場所だ。
明治11年築の木造平屋が休憩棟として機能し、屋外にはテントサウナ1棟+木造小屋サウナ1棟の2ラインナップ。2025年末に1棟が耐久性と温度安定性を高めた木造小屋サウナにアップグレードされた。セルフロウリュの仕様や天然地下水の水風呂は変わらず、薪ストーブの火力は依然強力で、ロウリュ時には120℃近くまで上昇する。水風呂は「サウナしきじ」監修のもと設計された安倍川水系の天然地下水かけ流し(17℃前後)。外気浴のインフィニティチェアからは、茶畑と里山の風景が広がる。
特筆すべきはデジタルデトックスが強制される環境だ。携帯の電波がほとんど通じず、タイマーも時計もテント内に置かない——「熱くなったら出る」という本能に従うことを促す設計思想が、都市部のサウナとは根本的に異なる。
水着着用の男女共用。料金は2時間2,500円〜とリーズナブルで、静岡のアウトドアサウナを語る上で外せない一軒だ。
- 住所:静岡県静岡市葵区足久保口組舟沢1620-1
- アクセス:新東名・新静岡ICより約8分
- 営業:月・水〜金 14:00〜22:00/土日祝 10:00〜18:00(火曜定休)
- 料金:2時間 2,500円/フリー 3,300円
- サウナ:テントサウナ1棟+木造小屋サウナ1棟
- 水風呂:天然地下水かけ流し(17℃前後)
- 公式:sauna-mysa.jp
静岡テントサウナ初心者ガイド
「テントサウナに興味はあるけど、何を持って行けばいい?」「そもそもどう入ればいいの?」という初心者向けに、基本を整理しておく。
持ち物チェックリスト
施設によって貸し出し品は異なるが、以下を基本として準備しておけば間違いない。
- ✅ 水着またはラッシュガード(川に入る施設では必須)
- ✅ サンダル(テント出入り・川辺での移動用)
- ✅ タオル(大判バスタオルが1枚あると便利)
- ✅ 着替え(汗をかくので必ず)
- ✅ 飲み物(水・スポーツドリンクなど。脱水対策)
- ⭐ サウナハット(頭部の熱を守る。多くの施設でレンタル可)
- ⭐ ビーサン or マリンシューズ(川底が石の場合に有効)
- ⚠️ アブ・ブヨ対策グッズ(6〜8月の川サウナは必携。詳細は下記参照)
テントサウナの入り方・ロウリュの基本
テントサウナの基本的な入り方は通常のサウナと同じだが、いくつか押さえておきたいポイントがある。
まず温度について。テントサウナは薪ストーブを使用するため、火入れから適温になるまで30〜60分かかる。施設スタッフが事前に準備してくれる場合がほとんどだが、自分で温度管理する場合は薪の量と空気量を調整する。
ロウリュ(サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させること。「ロウリュウ」とも表記される)はテントサウナの密閉空間では効きが強烈だ。最初は少量ずつ、様子を見ながら行うこと。アロマオイルを数滴混ぜると香りが広がり、より深いリラックスが得られる。
水風呂・外気浴で「整う」ための順番
テントサウナでととのう(整う)ための基本的なセット順は以下の通りだ。
- サウナ:8〜15分を目安に、額や背中の中央が熱くなってきたら退出のサイン
- かけ湯・シャワー:汗を流してから水風呂へ(川の場合は省略可)
- 水風呂(または川):1〜3分。無理に長く入らなくてよい
- 外気浴:インフィニティチェアや川辺で5〜10分、静かに体を休める
これを2〜3セット繰り返すことで、頭がふわっとした「ととのい」の感覚が訪れやすくなる。
川の水温は季節によって大きく変わる点も覚えておきたい。阿多古川・芝川などの清流は、冬場(1〜2月)には4〜7℃まで下がることもある。いわゆる「シングル(10℃未満)」に近い水温は、ベテランサウナーにとってはたまらない一方、初心者は無理せず短時間の水通しにとどめること。逆に夏場は18〜22℃程度まで上がるため、「キンキン」という感覚は薄れる。訪問シーズンによって期待値を調整しておくとよい。
⚠️ 静岡の川サウナ特有の注意:アブ・ブヨ対策
阿多古川・興津川など静岡の清流エリアは、6〜8月にかけて吸血昆虫(アブ・ブヨ)が多発する。外気浴中に刺されると数日間の腫れが続くことも珍しくない。夏季に川サウナを利用する際は以下を持参することを強くおすすめする。
- 🔥 パワー森林香(強力タイプの蚊取り線香):外気浴スペースの風上に置くと効果的
- 🌿 ハッカ油スプレー:サウナ後の素肌に直接スプレー可能。忌避効果あり
- 👕 長袖・長ズボン:外気浴後の移動時に羽織れるものを準備
よくある質問(FAQ)
Q. 日帰りで行けるスポットはある?
A. 本記事で紹介した7施設のうち、石神の里キャンプ場・おきつがわオートキャンプ場・サウナ天竜・FUJIYAMA SAUNA倶楽部・sauna MYSAの5施設が日帰り利用可能。おちあいろうは宿泊者限定、ホールアース自然学校は日帰り体験プランとして参加できる。
Q. レンタルと常設、どちらがおすすめ?
A. テントサウナが初めての人には常設施設がおすすめだ。火入れ・設営・撤収をスタッフが対応してくれるため、サウナそのものに集中できる。テントの操作や薪の管理も自分でやってみたいという人は、SAUNOA+のようなレンタルサービスを使って自分のペースで経験を積むのがよい。
Q. 冬でもテントサウナは楽しめる?
A. むしろ冬こそテントサウナの真骨頂だ。外気温が低いほどサウナと外気浴の温度差が大きくなり、整いやすくなる。ただし川の増水・凍結リスクがあるため、川を水風呂にするタイプの施設は訪問前に必ず状況を確認すること。sauna MYSAやFUJIYAMA SAUNA倶楽部など、川以外の水風呂がある施設は冬でも安定して楽しめる。
Q. 子どもも参加できる?
A. 施設によって異なる。石神の里キャンプ場・おきつがわオートキャンプ場はファミリー利用が多く、子連れで訪れているケースも見受けられる。sauna MYSA・おちあいろうは18歳以上限定。事前に各施設の利用規約を確認してほしい。
まとめ|静岡でテントサウナを最高の形で楽しもう
静岡のテントサウナは、施設ごとに「水」「ロケーション」「世界観」がまったく異なる。阿多古川の名水に飛び込む石神の里、富士山の溶岩でロウリュするホールアース自然学校、里山の時間軸で整えるsauna MYSA——どれを選んでも、施設の水風呂槽では決して得られない体験が待っている。
テントサウナオーナーとして言えば、静岡はまだ「伸びしろだらけ」のフィールドだ。サウナ文化の成熟とともに、これからも新しい施設や体験が生まれてくるはずだ。このブログでも随時情報を更新していくので、ブックマークしておいてほしい。
まずは自分の目的に合った一施設から、静岡のテントサウナを体感してみてほしい。



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